ようこそ緑の世界へ!

手術前日に、明日出頭するという医師から言われた言葉。それは”明日は緑の世界へようこそ~!”だった。一体なんのことだかかわからず、キョトンとしていると、明日は私も手術着(緑色)を着てるからね。だから緑の世界で会おうね~と言われたのだ。

クリ子は入院の手続きだけつき合い、さっさと仕事に行ってしまったので、後は翌日の手術が終わるまでは一人ですべてこなさなくちゃいけない。って言ってもやることなどほとんどない。朝、一番の手術ということもあり、前日は夜から一滴の水も飲むことを許されず、ただ眠りにつくのだが、これまたベットが硬くって寝られたもんじゃない。おいおい、手術前からもう腰が痛いぞ!こんなんじゃ明日からが思いやられじゃないか~!!その上、お隣さんは夜中じゅうずっと、ヒィーヒィー唸ってられるし、もう一つ先の患者さんもなんだか重症そうだし・・・

結局、一睡もできずに朝を迎え、朝一番にシャワーに入り、頭からつま先まで磨きあげた?後、手術用の服に着替えるもどっちが前だかわからない。お~い、何もかもが始めてのことでわからない~!!ま、答えは後ろが全開になってる着かたが正解だったんだけど。お尻丸見えのこの格好に、ルパンの富士子ちゃんのような太ももまでキュッと絞まったパンストを履かされ、後は寝て待ってろ!とのこと。

あ~普通、手術前って映画とかだと、誰かそばにいない?一人で用意して一人で手術に行くのかよ~なんて考えているとなんだかすべてがアホらしくなってきて笑えてきた。看護婦さんから不安だったら、精神安定剤を打つと言われていたのだが、それもなく、お迎えの時間がやってきた。おいおい、予定の時間より20分ほど早いではないか。まだパンスト一本履けてませんけど・・・いいの、いいの、この点滴を打ちながらパンスト履いてくれればいいから・・・はい、頑張って自分で履きます。

なんて言ってるうちにお迎えがやってき、映画のようにベットごと移動。いよいよ手術室に・・・なんて思っていたら、いやいやまだまだ気が早かったようだ。手術室の廊下でベットごと待たされるのだが、ここに2,3人の先客がおられる。みな手術待ちなのだ。一人はもし手術を受けて、下半身不随になってたら、私の一生はもうないに等しい。先生、この気持ちわかりますか?と先生とやりとりをしている患者さん。もう一人は、私のハニー、頑張ってきてね!と甘いチュ~ばかりを前で見せてくれるカップル。いやはや、色んな人がいます。ってこの手術室前に一体、何台のベットが待ってるの?10.11.12~ってことはこんなに一杯の患者さんが、今手術してるってこと??

そしてここでは行くとこ、行くところで名前と生年月日などを言わされ、最後の点検を受け、いざ手術台へ?そう、ここまで運ばれてきたベットからなんだか死体解剖などで使われるような銀の鉄板に乗っけられてしまった。そしてその上に緑のビニールシート。これ、まさに映画の世界?”もしや、この鉄板の上で手術するの?なんだか寝心地悪そうね?”なんて聞いたら、”いやいや、安心して、手術用ベットはまた違うのだから”

すべてが機械で操作されているハイテクなこの病院。お次はどこへ・・・結局、その後、手術用のベットに寝かされ、手術室に向かい、酸素マスクをつけさされ、体中にいっぱい機械がつけられ、さぁ、いよいよ全身麻酔。”全身麻酔したことある?”なんて聞かれ、”ない!”と答えると”じゃあ、初めての全身麻酔ですぐにいい夢がみれますように”って、先生、私のことなめてる??ってその前に先生、今コーヒー飲んできたでしょ?コーヒーのほのかな香りがしてくるよ・・・・。ってそんなことよりも、今私の後ろにいっぱいいる人達は誰?もしかして学生さん?”いや~今日の手術、後ろでうちの教室の学生と一緒に見させてもらうよ!”ってやっぱり見学者がいるんですか・・・

なんて思っているうちに、麻酔が入ってきて、すぐにコテンパン。次に起きた時は手術が終わった後だった。こんなに余裕を持てていたのもここまで。手術後は辛かった。っていうか、簡単な手術と聞いていたので手術というものをなめてました。でもこの先はまた後日。(写真は、病室のベットから毎日見ていた風景)