苔寺 (西芳寺)

西芳寺、一般的には苔寺と言われるこのお寺は、名前の通り、庭園が苔一面に広がりなんとも美しい寺だ。

世界遺産にも登録されている為、知ってられる方も多いと思われますが、このお寺は訪れるのには条件がある。

まず、一般の参拝はされていない為、事前にハガキで参拝したい人数などを書いて申し込む。ただしこちらから日程は指定できない。向こうから返事が来るのを待つのみなのだ。お寺側から指定された日時に従い、参拝する形式は私にとっては初めてだった。

そしてもう一つ、このお寺には指定されていることがある。それは参拝者全員に参拝当日、参拝前にお寺の本堂で写経かお経を読むことが義務づけられている。

クリ子はこの日まで、ずっと写経じゃなきゃいいのに・・・と心から願っていた一人。彼にとって1時間の写経は不安で不安でたまらなかったらしい。外国人だからといって免除されるわけでなく、皆と同じように墨をすり、筆で丁寧に般若心経を書かなくてはいけない。彼はこの条件がある為、このお寺に行くのをためらっていたと言っても過言じゃない。

だけど、よかったね、クリ子さん。この日は参拝者全員でお経を読み、後は自分の願いごとを筆で書いて、阿弥陀様に収めるだけで済んだんだものね。

そしてやっと庭園を参拝することを許された私達は、ここまでして来た甲斐があったと心から言えるぐらい素晴らしい庭園に見入った。

聖徳太子の別荘だったと言われるこの場所、奈良時代にお寺が建てられ、今のような苔に覆われた庭園になったのは江戸時代になってからしいが、一体誰がこの庭園を設計したのだろう・・・。

遠近法を上手に使い、なんとも言えないセンスで一本、一本の木、そして池、橋、お茶室などが配置してあり、大きい庭園にも関わらず、雑然としてるのではなく、一つ、一つがこじんまりと品よく、それでありながら、一つ一つに主張がある、なんとも言えない調和がとれた庭園。そしてそこに生息するさまざまな苔。

もう一回でも2回でも訪れたいお寺。ここにはそんな奥ゆかしさがある。

さっそく、恋しくなってます!

日本ではほぼ毎日、お魚とたっぷりのお野菜を食べていた私達。クリ子のご希望により、ミラクルなお寿司の出前に始まり、母シェフの娘を想うお料理・・・・毎日幸せでございました。

ある時は、生の蛸なんてウィーンじゃ食べられないでしょ?と生の蛸を丸ごとお刺身にしてくれたり、

ある時は夏の京都と言えば、鱧を!と・・・鱧の柳川鍋を作ってくれたり・・・(鱧のおとしの日もあったのだが、クリ子が梅肉が駄目な為、写真に収められることはなく・・・)ズイキの胡麻とお酢で味付けした一品。日本酒好きな私達にはもってこいな鮎の甘露煮などなど。

毎日、毎日、季節のお料理で、私が好きだったお料理やウィーンで食べられない料理を二人に食べさせてやろうと頑張ってくれたお母さん。

どのお料理も最高で、クリ子が食べられないのなら、私がアナタの分も食べるわよ!とよこからクリ子の料理をつつこうとするのだが、口が肥えてらっしゃる相棒。美味しいものはわかるようで、私が食べたいと思う料理ほど、彼は一人でちゃんと平らげてました。その一つが、グジ。一般的にいうアマダイ。これ私の大好物だったのよ・・・だけど結局、クリ子と私、一切れずつ用意してもらったのに、いいところは全部クリ子に持っていかれ、私はグジのお掃除がかり・・・あ~もっと食べたかった~!!

あまりにも大好物ばかり食べ過ぎて、ちょいと太ってしまったワタクシ。今後、ダイエットに励まなくてはいけません。クリ子も毎日、おいしい、おいしいと日本での食を堪能し、日に日にお腹が丸くなっていく始末。僕のお腹はフグ~なんてね。お魚も大好きだけど、たまにこんな笑顔で浮気を・・・

そうです。やっぱり彼は肉なのです。口を開かせれば、日本のステーキに焼肉、すき焼きが食べたいという奴。それも美味しいが、君はまだ日本料理の奥深さを知らんでござんす。私なんかはもう早速、日本料理が恋しいのに・・・あ~新鮮なお魚よ~あ~旬のお野菜よ~ウィーンにちょっと足を運んでくれんかの~~~~。

そんな我が家のご飯は、ヒジキご飯に、ズッキーニの生姜醤油がけに、酢の物、日本から持って帰ってきたニシンのたいたもの。あ~なんでトランクの中にみょうがと紫蘇を忍ばせておかんかったんだろう・・・あ~馬鹿だ~。

梅花藻(バイカモ)

何年か前にテレビで見て以来一度、行ってみたかった醒ヶ井の梅花藻。

7月から8月ごろしか見ることができない、そんな限られた時期しか見られないこの時期に日本に帰ってきてるなら、見にいくほかないでしょう・・・

梅の花に似た白い小花を咲かせることから名前がついた梅花藻。日本でも限られたところでしか生育しない花で、水温が14度前後の清流にしか育たない。

夏の最盛期には川面から直径1.5cmぐらいの花が一斉に顔を出す。

この日も午前中からすごく暑い日だったのだが、ここだけは何故かとても爽やかで涼しげ。昔はここの人々の用水路として使われていたらしく、ある時は冷蔵庫代わりに、ある時はお洗濯物を洗う場と・・・人々の生活と共になくてはならないものだった。

今でもところどころでは家庭にまでこの水を引いて、お野菜や果物を冷やしたりしてられるそうな。そんな人々にとってなくてはならない水。毎日、沢山の観光客が訪れるのにも関わらず、ここの水は本当に澄んでいて綺麗。

暑さのあまり手を水の中につけてみると、1分近くもつけていると冷たさのあまり手がしびれてくるほどの冷たさ。

これはきっとここに住んでられる住民の方や自治体の方々の努力によるもんなんだろう。時代はどんどん変わっていくけれど、ここだけは昔ながらのこの面影をいつまでも残していってほしいと願うのでありました。