オーストリア人はタフだ。ってきっとヨーロッパやアメリカ人、体格が日本人よりいい人種はやっぱり体力がある。
だけどクリ子はご存知の通りガリガリだ。体脂肪率、5パーセントをきるような奴だ。どうも太れないようだ。そんなガリガリ男、クリ子も一緒に生活しているとタフだなぁ~とやっぱり思う。
日本の会社よりは楽とはいえ、朝から晩までお昼を食べる時間が最近取れないぐらい、忙しい日が続いてストレスも貯まっているだろうに、疲れた顔はするものの、愚痴などは一切はかないし、疲れたら普通、晩御飯食べて夜10時を過ぎていれば、普通勉強などしないだろう・・・それが彼の場合、毎日どんなに遅くなろうが、日本語の勉強をPCでやっている。
彼は自分にノルマを課せ、毎日出題される漢字と意味を正確に答えなければ、出題率が増えるというもの。そして一日サボれば次の日は出題数は50も100も増えていくというPCに入っているプログラムをこなしている。
私なんて絶対そんなことできない。同じように一日働いて、帰ってきてご飯作って、それ食べたら、ボケーとテレビなどを意味もなく眺めている。やならなくちゃいけない仕事や物事があったらそらやるけれど、クリ子のこの日本語は誰に強制された訳でもなく、趣味でもなく、私達が世界共通語の英語学ばなくちゃ~ってぐらいの気持ちのものがなんでこうも毎日、夜遅くから日本語の勉強ができるのかが不思議だ。
それは日本語だけに限らない。例えば昨日のダンス教室もそうだ。私達は2年ほど前から週に一回、社交ダンスを習いに行っている。そのダンス教室では、主なスタンダードなダンスからラテンのものまで基本のダンス、すべてを習う。普通はそれだけで十分なのだ。
それがクリ子はどうもスローファックスが踊れないことが悔しかったのか、スローフォックスだけのダンス教室にまた通いだした。ってことは私もなんだけど・・・これがまた微妙な時間から始まるのさ。木曜日の夜の9時前から10時半過ぎまで。ダンス教室が終わって家に帰ってきたら、11時前。私にとっては一週間の中でもかなり仕事の内容がきつい木曜日、家に着くのが晩の7時半。ここでちょっとソファーにでも座ったもんなら、1時間後のダンス教室なんて行きたくなくなってしまうのだが・・・クリ子はこの日はギリギリまで会社で仕事をし、直接ダンス教室に行き、二人でダンスをびっちり習う日が続いている。
そのコースも一応、昨日でようやく終わり。ここでももう終わりにしようかな・・なんて思っていた私とは裏腹にクリ子はその場で、スローファックスの次のコースを申し込んだ。ってことはまた来週からも木曜日は夜の10時半までダンスですか・・・習いたい気持ちはあるけれど、しんどかったら諦めてしまいそうなものなのに・・クリ子はこう!だと思ったらどんなにしんどくても何があっても諦めない。妥協しない。アンタはすごいよ!
って次の日、金曜日も違うダンスコースに通っている。もちろん、そんなにいっぱいダンスの種類をいっぺんにならうとステップが忘れられないので、日曜日の晩、2時間ほど自主トレーニングにダンス教室に行っている。って週のうち3回は晩、ダンス教室に熱心に通っている私達。 正直私の心は、2日で十分です・・
どんどん忙しくなっていく仕事、ストレスもいっぱいなのに、どうやったら仕事の後のアフターに日本語にダンス教室、ケーキ作り・・・アンタもやっぱりタフだぜ。
でも当の本人は何一つ、しんどい顔一つ見せないんです。ついついクリ子の人生って楽しそうでいいねぇ・・大変なことも悩みもないんでしょう~!って言いたくなるぐらい、毎日、冗談言って、好きなこと言って楽しそうに生活してるんです。
私にはわからん。クリ子が・・・!こやつはガリガリなくせに意外とタフ、いや、それ以上に芯が強い。その強さは彼を知ると知るほど強さというものを感じる。こやつの中身は一体どうなってるのだ?今だに不明・・・