思い込み

いつの間にか私は、かれこれもう一つの手だけでは数えきれないぐらい長いことウィーンに住んでいる。日本から来られた方々からさぞかしドイツ語が上手くなって何不自由ない生活を送っていると思われがちだ。だが、他の人は知らないが、私に限ってはそんなことはない。

もちろん語彙、長い文章を話す(短い一文や二文でないことをいう)のは、そらこっちの現地人などから比べたは比にならないぐらい頼りないが、何より私のまずいのは、思い込みだ。

例えば、誰かがないか質問してきて、それが聞き取れなかった時、日本語でいう”え?今なんて言われました??もう一度言っていただけますか?”にあたる言葉がある。それが”Wie Bitte?” だ。

これをつい最近まで、日本語風に”そ、それって何”とか、”い、いまなんて言った?”みたいな日本語ではびっくりした時とか驚いたとか焦った時についつい、単語のはじめの音を2回言うアレだと思っていた。

聞いた上では”Wie Bitte?”も”Bi Bitte?”も日本人からしたら何一つ発音の違いに気付かない。どちらとも同じように聞こえるのだ。

だから私はいつの間にか日本語風に”Bi Bitte?”だと思い込んでかれこれ数年・・・この前、オーストリア人の知り合いにWの発音が悪い・・”Wie Bitte”のWはこう発音するの!と言って発音した彼女のはどうもWの発音に聞こえた。

だから疑問を抱いて・・その文章の初めはWじゃなくてBではじまるよね?!って聞いたら違う、違う~Wだよ~だから発音が間違ってるんだ~!!っと言われてしまった。

そうか、そういうことか・・・二人で笑ってしまった一瞬だった。

こんなことが多々。当たり前に喋っている簡単な単語こそ、勘違いをしていることが多い。勘違いをなおす為にももっとドイツ語の新聞や本を読まなくちゃなぁ・・って新聞読んでもこういう単語読み飛ばして気付かない自分がいるんだけどね・・

私のドイツ語の道はまだまだ険しい・・・・トホホホホ。

37年の年月

先週末は両親の結婚記念日だった。普通に毎日を送ってると日にちっていうのは歳と共に気にならなくなり、今日は何日だったっけ?ってな具合だ。

その日も普通に仕事をしていた時、腑とした時に今日が23日だということに気づいた。そこで仕事の合間に両親に電話をしてみた。この日に限って出てくれたのが、珍しく父。お父さんグットJobだゼ!ここからは父と娘の会話。(Oは父。Yが私です)

Y: お父さ~ん、結婚記念日おめでとう~!!

O: え?!今日って何日やったかいなぁ・・・

Y:  1月の23日やん!!

O:  え?!そうやったっけ・・・・・・お母さ~ん、えらいこっちゃ!!今日、結婚記念日や!!(二人ともこの日のことを忘れていたらしい・・)

Y: ところでお父さん、結婚何年目??

O: お母さ~ん、一体、結婚何年目??(横で37回目という母の声が聞こえてくる・・)

O:  37回目やって~!!よう37年も続いたなぁ・・・これもひとえにお父さんのお陰や!お父さんが今まで我慢してきたからなぁ・・・

Y:  また・・そんなこと言って・・二人共が色々我慢とか助け合ってここまできたんやん。

O:  違う・・違う・・お父さんが頑張ったからやって。ほんまやって・・・お父さん、今、”えらいこっちゃ”やねん。

Y:  ”えらいこっちゃ”ってまた、大したことないことやろ??

O: 大したことあるって・・・お父さんなぁ・・この前、こけてなぁ・・手首の骨折ってん。それがなぁ・・その日、お母さんがすごく疲れてはってな、もう食事の用意するのもしんどかったから、皆で食べてきてって言われてな、中華料理を食べに行ってん。ほんでな、家でお母さん待ってはるからな、お母さんにお料理をな、お持ち帰りにしてん。ほんでな、冷めたらアカンって思ってな、一生懸命自転車でお母さんの為おもって中華料理持って帰ったらな、その道中で自転車がえんせきに乗り上げてな、コケテしもてん。

Y:  え?ほんでどうなったん??

O: どうもこうも・・手首の骨やられてな、右手三角頭巾で首から吊られててな、使えへんからな、字書くことも食事も左手でフォークで食べてるねん。これも一重にお母さんに温かい料理を持って帰ってあげようって優しい心からやから、やっぱり37年続いたんはお父さんのお陰やねん(と笑いながら言っている父)。それやのにな、さおり君(うちの姉)なんかな、自転車、飲酒運転したからコケたんや~!って言わはるねん。(きっといお酒を飲むから車をやめて自転車で食べに行ったと思われる・・・)

O: やけどな、実は料理はな、さおり君が運んではってな、お父さんは自転車で走ってただけなんやけどな。(とちょいと恥ずかしそうにいう父)

でもこの代償は大きかったようで、治るまで6週間かかるらしい。利き手である右手が一切使えないことで、不自由だろうに、父の声は至って元気。得意先を回ることもできない。車の運転もできない。食事もろくにちゃんと食べられない。だけどこの父の声の明るさには家族の愛と絆があるのだろう・・・

車通勤ができなくなった父は、毎朝、我が姉に駅まで送り迎えをしてもらっているそうな。そしてお風呂に入っても、ろくに体が洗えないので母が体を洗ってあげているそうな。冗談で、37年も続いたのはお父さんのお陰~なんて言ってられるのは、温かい家族関係がそこにあるから言えるのだろう・・・

こんな温かい家族のもとで育ったことが嬉しいし、感謝しているし、そして何よりも滅多なことがない限り、家族に会えない私からすると、こうやって電話で仲のいい自分の家族の会話が聞けるのが何より嬉しいし、安心する。

お父さん、お母さん、これからも仲良く二人で楽しい人生を歩んでいってね。私達も37年目の結婚記念日の時にはこんなジョークが軽く言えるぐらいの夫婦関係が築けたら・・・なんて思っています。その為にも私達、夫婦も助け合っていかなくては!!

山小屋料理?

いい空気吸って、綺麗な景色を見ながら散歩したら小腹がすくってもので、帰りのゴンドラを待っている間に私達は山小屋で遅い昼ご飯を食べることにした。

山小屋には大抵、頑張れるおじさんの豆スープがある。日本の絵本に出てくる頑張れるおじさんの豆スープはたしかグリーン色のお豆さんのスープだったが、こっちでは赤いスープにいっぱいの茶色い豆とソーセージが入っていて、これ一つ食べると、かなりお腹にもくるようなパワーのでるスープで、雪山ではよく皆このスープを飲んでいる。

だけど今日はそこを変化球で同じ赤いスープにいっぱいのお野菜とベファローニ、フランクフルトの輪切りがいっぱい入ったスープ。これも山で代表されるスープ。これにはバンが付け合せでついてくる。

そしてそれにはまずは、運動の後のビールで乾杯!!今日一日、食べた物って言えば、二人ともハイキング中に食べたおにぎり2個だけだもんねぇ・・・そんな時にありつけた、食事とビールはなんて美味しいんだろう・・・

その後はがっつりとウィンナーシュニッツェルで。すごいカロリーだがいいの。まだ昼の3時半だから・・・運動した後はこれぐらい食べなくっちゃね。

山に行くといかにも田舎のオーストリア料理~というものが食べたくなる私達。

だけどこの最近体力作りといって肉類を食べると私には脂っこいのか、顔にニキビのようなブツブツが・・・野菜もいっぱい食べてるのに、こりゃ、体がひつこいお肉を受け付けなくなってきてるのかなぁ??歳かなぁ・・・・・