今日の晩クリ子とダンス教室に行く途中、恐ろしい事件に遭遇した。それはピストルの音。何故か本物のピストルの音など聞いたことがないはずなのにこれがすぐピストルの音だとわかった私。ある意味独特な音だ。そして目の前にはピストルで撃たれてビクとも動かず道端に倒れている人。そしてその周りに警官が二人。
ことのいきさつはこうだ。いきなり気が狂った男性がナイフを振舞わして警官に襲いかかってきた。そして自己防衛の為にとっさに警官がピストルでこの男性を撃ったのだ。それは交差点の前でおこった。交差点の前には路面電車の停留所がある。こんな恐ろしい現場なのに誰も知らん振り。普通に電車を待っている。5歩歩けば人が打たれて倒れているというのに。これがウィーン人なのだ。クリ子も警官がいるし、気の狂った男性はもう撃たれてしまってるから危険性はない。さぁ~行こうと普通にこの倒れている人の横を知らん振りして通りすぎる。私なんかはえ!今、目の前で撃たれて1分もまだたってないよ、大丈夫なん?遠回りしてまでも違う道から行きたいと思うがこっちの人は自分に危険性が及ばないとわかるとその現場をスタスタと歩いていく。
絶対野次馬根性があるはずなのにみんなしらんぷり。そしてそこを通りすぎて遠いところからなぁ~なぁ~あそこで何があったん?と聞きだす。この前ドイツ語コースで話題になったのを目の当たりにしてみたようだった。ドイツ語コースでの話とは、オーストリア人は絶対に事故にあったり転んで立てなくなっても誰も助けにきてくれないという話だった。私は必死にそんなことはない。よくお年寄りがちょっと滑ってこけちゃった時には周りの人達が大丈夫?って手を差し伸べてるもん。そして私が足を踏み外してプチプチ神経が切れたり、靭帯が伸びたりして歩くのが大変だった時もみんな助けてくれたもん!って言ってもみんなが口を揃えてそれはあなた幸運だったのよ!ですまされた。そんなところにオーストリア人の先生が入ってきた。ねぇ~先生、オーストリア人って道端で事故に遭った人とかちゃんと助けるよね?と助けを求めたが先生の反応はこうだった。
いや、残念なことにオーストリア人は他人のことに干渉しません。皆そんな場合は知らない振りをします。なんで?先生??そんなの冷たいやんって詰め寄ってもそれがオーストリア人ですと言われてしまった。先生の説によればオーストリア人はそこで手を差し伸べることで第一に時間が費やされてしまう。第二、ここで救急車や警察を読んだら自分の名前を警察にひかえられてしまう。第三、手助けをしたのにいつの間にか加害者に仕立て上げられてしまう、などなどだった。結論は助けることで受ける代償に不安を感じるかららしい。ほらね、Oyumichen私達が言ったとおりでしょう・・って10対1で負けてしまった。でもそんなの寂しいよ・・いっぱい優しい人もいるよ!って言ってもあなたの周りにはいい人が多いのねぇ・・ですまされる。なんだかすごく哀しくなったひと時だった。
だけど今日、先生の言っていたことが少しわかったような気がする。こんな大事件がここで起こってるのに、誰一人として振り返らない。横で新聞を読んでいた人もいた。それなのに、その倒れた男性が救急車で運ばれてしまえば、あそこでもここでも何が起こったんだぁ・・どうしたの?どうしたの?と皆が群れあがる。なんだよ、キミ達。信じられないよ。だけどこの人達はもう自分達がこの事件に一切関わらないで済むということがわかったら一気にその話で盛り上がる。そして話が大きくなっていく・・・信じられない。
そしてもう一つ信じられないのは事件が起きても日本みたいにテープが張られないのだ。普通はそこは立ち入り禁止になるのに、普通にその事件のあったところを皆が行き来する。これは今回に限らず他の事件でも。なんかある意味カルチャーショックだった。
あ~こんな事件を目の当たりにするとウィーンも治安が悪くなってきたのかなぁ・・とちょいと心配になってくる。