この最近、どうもおてんとさんのご機嫌が悪いようだ。雨だの雪だのその上、風がきつい。昨日なんてウィーンには珍しく丸一日雨でそれもかなり強く降っていた。それなのにおてんとさんはよほどご機嫌が斜めでらっしゃったようで鼻息ほど荒い風をビュンビュンとふかしてられた。これじゃ傘がさしてたくても傘がひっくりかえってしまいそうでさせやしない。チェッ!!そんな日に限って一日外を歩き回らなくてはいけない。お陰で私はビチョビチョさ。私に限らず色んな人がズボ濡れになったり傘が壊れてしまったり、滑ってスッテンコロリンとこけちゃったりした一日だった。
そして今日も午前中すごくいいお天気かと思えば、私が出かけなくてはいけないような時間から雨がポツポツと降り出した。そんなお天気の中、用事に追われバタバタしていたら遠くから鐘の音が聞こえてきた。それがあまりにも透き通った綺麗な音だったので空を見上げたらこれまた雲が一つもない透き通った綺麗な夜空だった。そして反射的に前を見たら今までに見たことのないぐらい優雅なオペラ座が目に入ってきた。こんなにくっきりと綺麗にオペラ座を見たのははじめてかもしれない。きっとこんなに建物やお空が綺麗に見えるということはきっと明日は晴天に違いない!と思った瞬間だった。(空が雲ひとつなくきれ~いに見えた晩は次の日いいお天気になるのです。ほんとかな?)
ウィーンに帰ってきてそろそろ二週間が経ち、いつもと変わらぬ毎日の生活の中で今日の晩、耳に入ってきた街に響く鐘の音がひたすら前を見て歩いている私に”上を見上げてごらんなさい!”と教えてくれているようだった。そしてその鐘の助言と共にフと前を見上げてみるとそこには凛と堂々として建っているオペラ座が目に映った。その瞬間、私ウィーンにいるんだ!と我に返らされたのでした。