被写体になるということ

私のお世話になっているお友達に写真を趣味にされている方がいる。私は彼女の写真の構図、センス、角度、さまざまな面から彼女の写真が好きだ。いつも機会があるごとに彼女のサイトを見てはアップされた写真をみて彼女の写真に対する女ごころを伺っている。何が彼女の写真の一番好きなところか?て言われると被写体と出来上がってきた紙との間に流れる空気だろうか。彼女の写真には彼女が撮ろうとしているイメージとそこの現実に置かれている被写体の中に時(トキ)が流れている。私はそこが好きなのだ。そして腑としたところから、今度は彼女の被写体になるといった思いがけない出来事がおこった。

いつもクリ子からOyumichenはいつも目をつぶっているか表情が硬いか、それか連写してもすべてが同じ顔をしていて撮りがいがないと言われていたので彼女には、”ほんまに私、自然な顔ができへんえ!クリ子にモデル失格ってレッテル貼られてるぐらいやし・・たぶん撮るの苦労すると思う・・・”と伝えておいた。

Image1.jpg実際、彼女に撮られている間、四六時中、目が泳いでいたり、ひきつり笑いをしていたりと彼女を困らせてばかりだった。彼女自身、人を撮るのがほとんど初めてということもあり、お互いが照れと緊張と遠慮で思うような構図が撮れない。

Image2.jpgImage6.jpg被写体になってみて、初めてわかること。それは自分がどうやって撮ってほしいか?心からそれを写真に願いを込めること、そしてその世界に一瞬でも入り込めるかだ。なかなか邪念が消えず、恥じらいと共にぎこちない、心ここにあらずといった私の心の描写がそのまま写真に出てしまい、彼女を悩ませた。

Image5.jpgやっぱりお互いの信頼関係なしではいい写真は撮れないのだと実感した一瞬。そして被写体になることの難しさを実感した一日だった。今後も彼女と一緒にお互いがお互いの思うような写真が撮れるように試行錯誤しながら撮りつづけていくことになった。

折角こんな機会を与えてもらったのだから今度、被写体になる時はせめて恥じらいを捨ててその時、その時に集中できるように心がけたい。

アンちゃんの誕生日

IMG_7250.jpgクリ子の同僚には双子の兄弟がいる。その名はアンちゃんとクリストフ。その二人が今日、お誕生日を迎えるということで一足先に土曜日の晩に彼ら宅でお誕生日パーティーが開かれた。

IMG_7241.jpgこっちではどんなに歳をとっても歳をとることに恥じらいはない。それどころか、私今日お誕生日なのよ~みんなで私のお誕生日を祝って~!という風に歳をとることにまた楽しみでも感じているかのようである。

IMG_7246.jpgアンちゃん宅のパーティーはいつ行っても心地がよい。みんな我が家のようにくつろいで大した話でもないのに大いに盛り上がったりして時間を忘れてしまう。

IMG_7268.jpgこの日も夜中の1時過ぎまでついつい長居をしてしまった。そしてこちらが今回の主役の片割れ、アンちゃん!いい歳の取り方をしてくれ~!お誕生日おめでとう~!

お茶会

昨日、お友達ご夫婦のお宅で新年会という名のもと15人ぐらいのホームパーティーが行われご招待頂いた。来られるゲストの3分の2がオーストリア人だ。オーストリア人に嫁いだ日本女性として、私のお友達であるSさんは皆さんの前でお茶のお手前をご披露されることになった。

IMG_6926.jpgねぇ~Oyumiche~nとYちゃん、悪いだけどオーストリア人のゲストの皆さんにデモストレーションとして、略式だけど一応最初から最後までお手前をするからその時のお客さんになってくれないかなぁ~と聞かれた。お煎茶は習った事があるがお恥ずかしいことに、茶道の方は先生が嫌いで3回でやめてしまったくちだ。いいよ!と言ってみたものの、さてはて大体のことはわかるがそれでもチンプンカンプン部類だ。急いでお茶を習っている姉に電話をし、お茶を頂く時の作法のDVDを用意してもらう。そしてそれで家でひそかに練習をし、本番の前の日にリハーサルとしてちょこっとそのお宅に伺い、流れを教えてもらう。

IMG_6903.jpgとても緊張したがお茶を頂くときの自分はピシっと背筋が伸び、堂々と一つ、一つの動作をこなし何故か気持ちが引き締まる思いがして、とてもいい気分だった。姉のお陰でどうにかお茶会のデモストレーションも無事に成功し、改めて時間があれば日本で一度ちゃんとお茶と着付けを習いたいと思った。ちなみにこの日、彼女が締めてられた帯はお正月をイメージしてアンティークの百人一首の絵柄のすばらしい帯であった。

IMG_6910.jpgその後、一流のレストランから来られた出張シェフによるフランス料理のコースが始まった。日本人の料理人なのだが長年、ヨーロッパでお料理を勉強されていたこともありフランス文化と日本の文化の融合ってな感じのお料理でとっても満足いく素晴らしいものだった。

IMG_6915.jpg何から何まで行き届いていて素晴らしいお食事会だったが、その中でも一際、私の心を揺らがしたのがオーストリアにある限られたお花で日本をイメージし、お茶室に飾られていた生花、そしてお重を花器に見立て一つ、一つのテーブルに西洋と和の調合をもたらし彩りを添えていたSさんの心意気がなんとも憎い演出であった。