オーストリアでは学業にしても仕事にしても一年の年度始まりが9月に始まり、6月に終わる。学年末になる今の時期は何かとテストや行事が多くなることが多い。
私にとってもこの一年は随分変化にとんだ年だった。そして昨日、私自身にとってもそれに関わった人にとってもこの一年の集大成の場となった。それは私のもとで今年一年学んだことを、そして私が教えてきたことが評価される場でもあった。
本当は発表会などするつもりはなかった。逃げられるものなら逃げてやりたくなかった。だけど何人かの生徒のご両親から是非やって欲しいと願望され、確かに生徒の為にも自分の為にも大変だけどやった方が力になると思いこの4ヶ月ほど、ホール探しから経費、そして生徒との曲作り。すべてが私にとってほぼ未経験のことだった。初めに躓いたのが会場決めだった。思うような会場が見つからず、色んなところに電話しまくり、会場、そしてピアノの具合などを見に行きよければ値段交渉をするのだがこれがなかなか折り合いがつかない。来年からはどこの会場がどれぐらいのピアノが入っていてどれぐらいの値段で・・という知識とデーターがあるから楽になると思うが今年は正直、どれだけホール探しに足を運んだことか。
発表会が近づくにあたっていろんな生徒がいた。こちらがもう少し上のことを、そしてちょっと厳しくなると”もうピアノのなんか弾きたくない・・・”としくしく泣き出す子達がちらほら。この子達を一生懸命のせ演奏会まで持っていく。ここでしんどかったのがやっぱりドイツ語だった。ピアノを教える技術はある。だけど気持ちなどのフォローをする時のその場、その場にあった的確な言葉というのがどうも自分で伝えられてないような気がし、日本人はもともと声が高いのに、それ以上に高い声を持つ私のドイツ語というのはあまり威厳などがないように思い、時には舐められているかと思ったこともあった。
だけど演奏会では今年、ピアノを始めた子も多く発表会ということに出たことも初めてだった生徒が多い中、みんな舞台で踏ん張りそして皆、私のことを信頼しついてきてくれているのが伝わってきた。
今回、私が教えている生徒のおよそ半分にあたる13人が今回舞台に出たくれたのだが皆よく頑張ったよ。彼ら彼女達がもつ力を全部出してくれたのではないかと思う。そして何より嬉しかったのが、演奏した生徒達が皆満足した顔で私にこんな場を作ってくれてありがとう~!と言いにきてくれたことだ。そして来てくださったお客様もすばらしい演奏会をありがとう!と言ってくださった。発表会ではなくあれは演奏会だったと。その言葉は教える者にとってはすごく嬉しい意味をもつものだった。
この一週間ほど、この発表会のことだけでなく色んなことでどたばたと忙しく、毎日休む暇もなく正直苦しかった。クリ子も会社が忙しく昼食を食べる時間がなく、疲れとストレスでどんどん胃かが小さくなっているのがわかった。なのでどんなに大変でも晩はクリ子の為にバランスと栄養が摂れた料理を作り、二人で乗り越えてきた。それでも彼は私の犠牲になってくれてたことも多かっただろう・・それなのに、演奏会では私以上に生徒がいい演奏をしてくれると嬉しそうだったのがクリ子だった。今回演奏会をして見えたこと、いい面でも悪い面でも色んなことがはっきりと明確に見えた。これを活かし来年の自分の指導に役立てていきたい。