この一週間ほど私は少しゆとりができ楽になった。でもそれと引き換えにクリ子は最近どうもお疲れだ。昨日などはお疲れが最高潮を迎えたようで帰ってきてもボソっとただ”ただいま~”と言うだけ。いつもの冗談まじりのしょうもないお話などもなくひたすら無言で顔が歪んでいた。
いつも仕事のことを聞いてもあまり何も言ってくれないクリ子も昨日は違った。どうもイライラを吐き出したかったのだろう。今、会社で自分が持っているプロジェクトのことや会社の今年の目標や色んなことを話してくれた。彼らの会社はお陰様でこの何年か急成長をしている。でも会社が大きくなるにつれてもちろん課題もいっぱいでてくるわけで、彼らは今それで悩んでいるのだろう。クリ子は僕がやっている仕事にミスはないのに、他の人に任せた分にミスが色んなところで見つかり、(段々プロジェクトが大きくなってきている為にクリ子一人の手では間に合わず、仕事を分散するようになってきた)それは結局クリ子にしかミスを見つけることができず直すこともクリ子にしかできないらしい。そのプロジェクトの責任者である彼は迫ってきている期限までにいっぱいやらなくてはいけないことがあるにも関わらず他の人のプログラムをチェックし、ミスを直さないと彼の仕事は先に進めないのだ。焦ってきているのに自分の仕事に時間を費やすのではなく、まずは人のミスを直してあげなきゃいけないことにイラだっているようだった。その上、今月から彼には研修生がついている。クリ子のもとで一ヶ月間、色んなことを学ぶのだ。その研修生に課題を与え、そして確認をし、新しいことをドンドン教えてあげなくてはいけない。
イライラしだしたら朝剃ったはずの髭が晩には少し伸びてくるその髭をひたすら無意識のうちにひっぱって抜き出すのだ。今日はかなりきているなぁ~と思い、昨日の晩はクリ子との時間を大切に持った。クリ子~仕方ないよ・・会社が成功して大きくなっていくってことはアナタ達にとって嬉しいことでもあるけれどその分、求められる物も自分達に課せられた責任もドンドン増えていくんだよ~。それはどうしようもないことだよ。アナタなら大丈夫、やりこなせる。明日になればいい方に向かっていくよ~。頑張れ~!!と励ました。
今日はちょいと能率よくことが進んだのか?それとも昨日と同じなのかは知らないが早めに家に帰ってきて気分転換にダンスを踊りに行こう!と言い出した。二人で久しぶりに2時間、ひたすらダンスを練習しいい汗をかいたらちょいとはスッキリしたみたいで帰りには鼻歌などを歌っていた。そして天からのクリ子へのお届けものか?頼んでいたワインがやっと届いた。そう、前にワインの試飲をして頼んでいたあのワイン達だ。クリ子~これ、アナタにきっとご褒美だよ。キンキンに冷やして明日の晩にでもこれで乾杯して美味しいご飯でも食べようよ!!