毎年、実家の大晦日は大忙しだ。大掃除にお節作り。除夜の鐘がなる頃になってもお節作りが終わっていず、いつもよなよな母が疲れを見せながらお節を作っているのを見てきた。
今年こそはちょっとゆったりとウィーン人が大晦日を過ごすように大晦日の晩という時間を楽しもうよ!ということになり、私達の進行のもと大晦日の晩を実家で過ごした。
その為にクリ子までも動因し、その日の午前中からお節作りに励んだ。晩の楽しいひと時を母にも楽しんでもらう為に。そしてある程度お節の目処がたったところで家族のみんなにはお正月を綺麗な姿で向かえてもらう為にお風呂にも入ってもらい、くつろいでもらう。そしてその間に私達はせっせ?とディナーの用意をする。
ってったって、ウィーンから持って帰ってきたチーズでチーズホンデュをするだけなんだけど。私達も食事の前にお風呂に入らせてもらっている為、時差ボケもあり食事の支度をする前にちょいと寝てしまい、ちょっと手順が狂ってしまったのはご愛嬌として、大晦日のディナーが始まった。
母に作ってもらったタイのカルパッチョ、そしてウィーンから持って帰ってきた生ハムにメインのチーズホンデュ、そしてサラダ。そしてそのお相手にはまずはこれまたウィーンから持ち帰った白ワインから・・・まずはお食事に合わせて軽めのオーストリアワイン。これは去年の夏産のまた若いワイン。前菜などにはこれらの主張の少ない軽めのワインがよく合う。そしてちょいと食事が落ち着いたところで香りのある個性を持つワインを頂く。
そうやって食事を楽しんだ後は、除夜の鐘と共に頑張ってもらわなくてはいけない父と母に少し休んでもらっている間に食事の片付けをする。そしてお腹が重いみんなにはまずこれで楽しんでもらおう。その名はBleigießen(ブライギーセン)。オーストリアでは大晦日の晩にこれでよく来年を占う。
そしてそれを火にかけて完全に溶かし、溶けきったら、水の中にその溶液を落とす。
水の冷たさでその溶液が固まり、その固まった形で来年を占うのだ。
さぁ・・一発目は我が家の大黒柱、お父さん。あら、ちょっと慎重になりすぎましてよ!まるでこれじゃ鹿のフンではございませぬか!
この遊びなかなか面白い。溶液を水に落とす速度、距離間、温度によって全然形が変わるのである。そしてだいたいこんな時はポジディフに考えるオーストリア人は出来上がった形を見て、各々好きなように想像し来年の抱負につながるようにみんな素敵なアドバイスをしてくれる。
本当は一人一回ずつなのだがみんな自分の作った形に納得いかないのか第2ラウンドが始まった。あっちゃ~気づいたら除夜の鐘つき終わってるよ。
一通り、ブライギーセンで遊んだ後はみんなで新年を祝ってシャンパンで乾杯をし、その後はウィンナーワルツを踊って年越しを楽しむ。”お嬢さん、私と踊ってくださいますでしょうか?”なんてね!
その後も本当は私達は飲んで踊って新年が明けたことを楽しみたかったのだが、ゲストの父、母、姉がソファーで眠り始めてしまったのでその日はお開きとなった。
だけどお節に追われない、時間にゆとりをもったこんな大晦日の晩もたまにはいいんじゃない?