抱える課題

母ちゃん、先週末から珍しく体調を崩して弱っております。いつもなら1日もすればよくなるのに、今回はなんだか長引いていてなかなか元気がでないのですが、子供たちは元気。朝からソリすべりに行こうだの・・・サッカーをしよう・・・だの、母ちゃんついていけません!!

さてそんな弱っている母ちゃん、なんだかこの2,3日は胃までずっとシクシク痛い。これは体を壊しているせいなのか、今とても心配してることがあってそこから来てるのか・・・。

ここに書けば長い話になるのですが、母ちゃんが可愛がってきたある生徒が大学卒業を機に少しの間、ピアノから少し離れて休みたいと言った。15才の時に初めて母ちゃんのところに来て、弾いたこともないピアノを習いたいというところから始まり、二人三脚で猛特訓して3年後にはその年10倍の倍率のウィーン国立音楽大学にその子を入れ、大学卒業するまでずっと一緒にこの生徒とやってきた。残念ながら大学の教授とはうまいこといかず、卒業試験を前はその生徒も母ちゃんもとりあえず卒業することだけを目標に頑張ってきた。だから卒業試験に合格した時、その生徒が少し音楽から距離を置きたいという気持ちはよくわかったし、母ちゃんも少し休みたかった。その生徒は医学の方の勉強にも興味を持っていたので、そちらの勉強の方を少しやってみると言っていた。

3ヶ月経っても半年経っても卒業試験以来音沙汰ないことに、心配をしつつも、母ちゃんは日常の生活に追われていること、そしてあまりにも試験が大変だっただけに、まだ正直こちらからも連絡する気が起こらなかった。

でも試験半年前ぐらいからの彼の精神状態や行動に少し不安を感じていたのが、どんどんその心配が大きくなって、その子のことが頭から離れなくなった。何か嫌なことになってないだろうか・・・その心配から離れることができず、こちらから連絡をとってみた。

その生徒は母ちゃんからの連絡を凄く喜んでくれた。自分からも連絡をしたかったが、練習もろくにできてないのに連絡はできないと電話しないうちに時間が経ちすぎて気になりながらも出来ずじまいでいたらしい。

電話で話す彼の今の状態は母ちゃんが恐れていたそのものだった。音楽大学の卒業試験を抱えながら、夏に気分転換で勉強一つもせずにウィーン大学の難関の医学部に合格したような賢い子なのだが、音楽大学卒業してから、医学部の方に進むもののこの一年休学を医者から勧められたらしい。その理由がうつ病。家からでること、朝起きること、生きていることに不安を感じて、怖くて震えてきたり涙が出てきたりする状態がこの一年ぐらい続いたらしい。医学を勉強するうちに、自分はうつ病ではないか?何種類からあるうつ病でも、その中でも子供の頃から患っている鬱病なのではないか?と自分を疑い病院で検査を受けるとやはりそのとおりだったらしい。

専門家にかかり薬や色んな療法を試みるも効果はあまりないようで、2週間ほど前には命を絶ちたい・・・と思う気持ちが大きくなり医者にそれを話した所、薬の今まで以上にきついものになり、今それで様子を見てるところという話だった。

正義感が強く、聡明で、繊細な心を持つその生徒は、誰にでも自分の話をできる子ではなく、なかなか自分のことを話すのが苦手な子だ。それが何故か昔から母ちゃんにだけは心を開けていろんな話をしてくれる。だからこそ母ちゃんもこの子の力になりたいと思い、二人三脚でやってきたのかもしれない。

だからこそその生徒がまた母ちゃんに心を開いてくれているのであれば、母ちゃんはこの子の話を少しでも聞いてやりたい。母ちゃんの義姉が同じ病気で何年も家族で苦しんで、ある時は警察、そして精神病院、リハビリ施設・・色んなところにお世話になったがそれでも彼女は回復の兆しはないし、彼女の場合はもう社会復帰は難しいだろう・・・。身近に同じ病気を抱えた親族を持つものとして、鬱病という病気が、そんな簡単に治るものでも助けてあげられるものでもないのはわかっている。だからこの子を助けようなんて思わない。助けられるなんて思っていない。ただ心に寄り添って話を聞いてあげることしか母ちゃんにはできない。そしてこの子に抱える問題がどれだけ複雑でその絡み合った糸から出口を見つけるのが大変なのかも母ちゃんが想像するよりも実際ははるかに大きい。そのこともすべて含めて母ちゃんはこの子が社会復帰できるように寄り添ってやりたいと思う。つづく・・・・。

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